胸に迫る触手が更なる変化を遂げていく。
醜い触手の先端に一筋の亀裂が入ったかと思うと、それが見る見る広がっていくのだ。横に伸びた線が、今度は上下に裂けていく。まるで口だ。触手の先から口が現れたのだ。そこからはチロチロと舌のような物まで出し入れされているではないか。直径1寸半(約4.5センチ)ほどの怪異な口。それが触手の数だけ、十数個はあろうか? 2つしかない乳房めがけて邪悪な笑みを浮かべながら一斉に群がっていくのであった。
根元に巻きついている数本の触手がぎりぎりとその美乳を締め上げていく。かつて見るものをため息つかせるほどの端正さを誇った乳房は、裾野のほうから絞り上げられ、見る影もないくらいに不恰好に歪められてしまう。速女が身悶えれば身悶えるほど、体に食いこんでいき、今や息をするのも苦しい程である。荒荒しい吐息を吐き出す度に、それが責め苦となって速女を襲う。もはや息すら思うままにできないのだ。それが、己の置かれている状況、そしてなんともいえない無力感を速女に思い知らせるのである。
締め上げられることによって、一層鋭敏になった乳房に、複数の触手が我先にと殺到する。押し合いながら先を争って這いずり上ってくる様は、もはや愛撫というようなものを逸脱している行為であった。まるで飢えた動物が目の前に置かれた餌に見境もなく食らいつくとような、本能にまかせた行動といえよう。いくら”速女”の意のままに動いているとはいえ、所詮は化け物である。しかしそんな行動の一つ一つが、確実に速女の官能を射抜いてくるのも、事実であった。
ぶしゅーっ!!!ぷしゅー!!!
触手の先端、口に当るところからはまたもや濃密な体液がしぶきを上げながら乳房に噴きかけられる。口から吐き出されている催淫剤は先ほどよりも更に濃度を増しているようであった。ほとんど半透明に近い色をしている上に糸を引くような粘り気も兼ね備えているのだ。そんな毒液を素肌が見えないくらいになるまで浴びせられてしまう。この激烈な催淫剤でこってり味付けされた上で、双乳が一気呵成の猛攻を受けるのである。
あるものは大口を開けてその柔らかい肉にしゃぶりつく。突っ張ったその弾力を楽しむかのように軽くかぶり付いているものもある。長い舌先を伸ばして美味しそうになぶるもの。疣を吸着させてやわやわと揉みしだくもの。容赦無く更なる毒液を浴びせ掛けるもの。その感触を楽しむように巻きつかせたまま上下に扱きぬくもの...そしてしこりきった2つある乳首には、それぞれ2、3本ずつもの触手が集っているのだ。まるで赤ん坊のように一心不乱に乳頭に吸いつき、引っ張り、時には甘噛みし、舌を這わせるのである。やりたい放題に散々玩ばれていく...
「あひぃぃ、ち、乳房、乳房が...こ、こわれちゃうぅぅぅううううう!!!!」
狂乱の中で速女は悲鳴をあげる。こ、こんなことって、あああ...
もちろん責めの手は乳房のみで我慢しているわけもない。速女の全身を埋め尽くす触手もそれに呼応するかのように責めを加速させてているのだ。新たな体液を滴らせながら、触手の一本一本が体に触れてくる。見る見る体中が白濁した体液に汚しぬかれながら、触手の渦に飲みこまれていく...
ま、またこれぇへぇ...い、いやぁあああ!
髪の毛の先まで媚薬に犯し抜かれた速女は、乳房を中心に体中から沸きあげる灼熱の感覚に身も心も焼き焦がれるばかりに翻弄されていく。ここまで媚薬に犯されて、正気を保っておれようか!?
「ど、どうして...こ、こんなにぃ、く、くすり...ばかり...ひ、卑怯よぉぉぉ・・・」
・・・少しは媚薬にも耐性があったようだけど、今となってはそんなものなんの役にも立ちはしないわ。それがよぉくわかったでしょ?あなたが我慢すればするだけ、こっちはあなたの弱点を徹底的に責めるだけなのよ。嫌がる所を責めないと意味ないじゃない。うふふ、今に下のお口から垂れ流されているお汁も、媚薬になるかもしれないわね。あははは・・・
”速女”が卑劣なのは、何も今に始まったことではない。かつて幻老斎と呼ばれていたころから卑怯・卑劣な策は彼(彼女?)の十八番だったのだから。
鍛錬することによって得た頑強な鎧、速女の精神はそれを一枚一枚剥ぎ取られ、今や少女なら誰しもが生まれながらに持っている無垢で純粋な魂を剥き出しにされてしまっているのだった。そこへ直接強力な媚薬をどぼどぼと流しこまれているのだから堪らない。世界は急激に桜色に染まり、鼓動は早くなり、全身が性器へと変わり、嫌悪感しか感じないはずの触手に対してすら夥しいまでの反応を見せてしまうのである。
なぜ、なぜなのー!どうして我慢できないのよぉ!!
情けなかった。涙はとっくに枯れ果てていた。あの苦行ともいえる厳しい鍛錬の日々はなんだったのであろうか。どんな相手の前でも決して弱みは見せないつもりであったし、その自信もあった。それがかくも脆く崩れ去るとは...
”速女”の言葉のいたぶりに一瞬輝きを強くした理性もすぐに欲情の闇の中に飲みこまれていってしまう。
その暗黒の淫欲世界の中で、淫獣に比べればあまりにも小さくか弱い体一つで、速女は戦いつづけなければならないのだった。先ほど噛んだ唇の痛みも遠くに霞んでしまっている。なんとか理性を保とうとはするのだが、外からは触手、内からは”速女”の言葉による玩弄が続き、肉体のみならず、精神をも揺さぶりたてられてしまう。
「も、もう、あ、後がないのよ...で、でも、狂いそう...おおうぅ、く、苦しい...」
・・・ウフフ、狂えばいいじゃない...我慢するから苦しいんじゃないの。何もかも捨てさって犬のように腰を振れば、気持ちいいわよぉ。早いところ負けを認めてイっちゃいなさいよ! ねぇ、早くぅ、あたしのためにも、ね!・・・
「あああ、そ、それはイヤ、そ、そうよ、イッてはだめ..あぐぅ、そ、それは出来ないのよぉ」
・・・出来ないですって?こんなに身体は狂い立っているのに? ははーん、さてはまだ責めたりないっていうのね? あはは、あなたも欲張りねぇ..
「ち、違うわ...違うぅぅぅ!!!!」
これ以上責められたらどうなるというのだ。心の底から沸き上がる怯えが、速女に悲痛な声を上げさせる。
・・・違わないわよ。ふふふ、たっぷり味わってね・・・
グリグリと乳首を揉み扱いていた触手がさっと離れる。と同時に、真上から再び食らい付き、乳頭をすっぽり口の中に納めてしまう。そうして伸縮自在の舌をより細め、紐状にまで引き伸ばしてから、なんと陵辱の果てに緩んだ乳腺にねじ入れ始めたのだ。
「ひぐっ!!な、何をするつもり...い、いやよ!!!」
・・・違和感があるのは最初だけよ..今にとてつもない快感があなたに襲いかかるから、ふふふ・・・
乳房の中心にまで達したというところで、今度は舌の先から大量の媚薬が乳房の内部へ直接垂らしこまれる。母として、妻として、乳房というのは女にとって象徴的な器官である。その最も大事な器官の内部に、呪わしい体液を注がれていってしまう。乳房の内部を満たしていく不気味に生暖かい感触が堪らない。
「ひぃ、ひぃぃぃいい!!! い、いやよ、こ、怖いわ...」
・・・うふふ、まだまだ...もっと注いであげるわ・・・
新たに内部に注入された体液のせいか、乳房全体が一層張り詰め、胸に重くのしかかる。乳首はこれ以上は無理というほどに盛りあがり、そんな問答無用の責めに対して悲鳴をあげるかのようにそびえたつのである。そこを狙って寄って集って回りから揉みこまれるのだ。只でさえ内部に注がれた媚薬の効果に煮えくり返っている乳房を揉まれては、一溜りもない。催淫成分が乳脂肪の隅々まで拡散し、細胞の奥底まで染み込んでいくのだ。
内と外から媚薬漬けにされた両方の乳房は、今や陰核以上の性感帯に成り果てていた。そんな快楽の塊となった乳房を触手に遠慮なく鷲づかみにされる悔しさは計り知れない。
ゴリゴリと官能の源泉を扱かれて、速女は絶息寸前の有様である。
「くひぃ、あ、あひぃ、ふふぇほ、おおおっくひぃぃぃぃん!!!!」
乱れきった心をなんとか集中させて、この淫らな欲望に打ち勝とうとする...が、うまくいかない!
与えられる官能があまりにも大きすぎるのだった。その波のうねりが高すぎるのである。爪先立ちになってなんとかしのごうとするが、それでも頭の上からもろに叩きつけられ、水中に沈み込んでしまう。一反水面下に沈んでしまうと足掻けば足掻くほど、深みにはまり、抜け出すことは困難となる。やがては息が切れ、身体を痙攣させながら、光が届く事の無い海の底へと堕ちていくしかないのだ...
今の速女は息が詰まりながらも、なんとか水面から顔を出そうとのたうちまわっている状態だった。なんとか息を継ごうと焦り、手足で水を掻いて浮上しようとするが、水あめのように重く粘った水はそれを許してくれない。一向に水面は見えない切羽詰った事態。次第に息苦しさが増してくる...
でも水を掻けるくらい手足が自由になればまだいい。なんとか事態を打開すべく自分で行動できるからである。だが今の速女にはそんな自由すら許されては無いのだ。憎みある敵からの攻撃を一方的に甘受し、むざむざとそのダメージをたおやかな身体に蓄積し続けなければならない屈辱感。そんなままではいずれ負けるのは目に見えているではないか。
肉体での反撃が出来ないなら、せめて気力で耐え忍ぶしかない..気力...そう、気を確かにもって、腹の底から力を振り絞るの...そう、声にだして卑劣な責めに対抗するのよ..そう、それしかないわ!
・・・お乳をこんなにしちゃってどうするの?揉まれるたびに嫌らしいおつゆが中からにじみ出てくるじゃないの。いやーね。媚薬が切れたらまた、その中にたっぷり注ぎ込んであげる...今に使いものにならなくなるかもしれないわね...ふふふ・・・
そんな”速女”の言葉が、逆に刺激し、燃え尽きてもはや残骸しか残ってなかったはずの不屈の闘志を呼び覚ます。あ、あたしは、まだ負けるわけにはいかない....
「はぐ、あ、あたしは、うぐぅ、ま、だ、あなたに....魂まで売り渡したわけ..ではないわ!あ、あなたの玩具じゃ、あぐぅ、ないのよ...!あああっ、こ、これくらいで屈伏したりするもんですか・・・」
なんとか言いきることが出来た。少し力が戻ってくるように感じる。そう、まだあたしは負けない!
これを聞いた”速女”の顔が、この時もし見られたなら、どんな表情をしていただろうか。苦渋に満ちた顔つきか、それとも嬉々とした残忍な笑みを浮かべていたか...
どちらにせよ、ここへ来てまだ強気を崩さないというのは驚きだった。ここまで責められてまだ屈しないとは...本当に気が狂うまで立ち向かってくるかもしれないわね...しかしそれならそうと、その上をいく責め苦を与えるまで。決して容赦はしない!
・・・ふーん、まだそんな生意気なこと言うわけね...そんな悪い口はこれで塞いであげるわ!・・・
「うぐぅ!!」
そう言うが早いか新たなる触手が速女の唇を押し分けて入ってくる。苦しさにむせながらもなんとか押し出そうとするが、逆にぐいぐいねじ込まれるだけだ。とてつもない力である。振り解こうにも、体の自由が全く奪われている現状ではどうしようもない。
ずりずり...
のど元深くまで挿入された触手が、不気味に蠕動を始める。そうするだけで、触手の表面にびっしりついた疣が口腔内にくっついて気持ちが悪い。しかもこの腐った肉のような風味は何!どうして吐き出せないの!犬の逸物を舐めほうが数万倍はマシなようにすら感じられるのだ。
「うぐぅー!ふぐぅむぐぅうぐぅぅっ!!!!」
・・・化け物の触手を美味しそうにしゃぶって少しは大人しくなったかしら。本当にあなたはとんだ跳ねっ返りね。そんなえらそうな口をきいた罰として少しお灸をすえてあげるから。まさに、その口にね!・・・
「むぐぐぅぅ!ふぐぅ、あぐ、ぎぐぅ!!」
・・・今からこの口の中に、あの体液をいやというほど注ぎ込んであげる。塗っただけであれだけの効果なんですもの。間違って飲んだりしたら一体どうなるかしらねぇ。脳みそが蕩けちゃうかもしれないわよ、うふふ。あははは...そんなに怯えなくてもいいわ。そう、簡単なことよ。飲みたくなければ無理に飲まなければいいだけよ...もっとも吐き出せたらの話だけどね!・・・
言い終わると同時に挿入された触手が異様に膨らむ。そしてその膨らみが触手の根元から段々競りあがってくるのだ!
ああ、な、何かくる!な、なに、あああ!!!
そう思った時にはもう遅かった。触手の先が一気に膨張したかと思うと、すぐさま大量の媚薬が先端からほとばしりでたのだった。口腔内が夥しいまでの体液で満たされる。あまりの苦しさに咽かえる速女。しかし唯一の出口たる口はがっちりと触手で塞がれているのだ。吐き出せない!その一部が鼻から逆流し外へでてしまう。そしてまた咽る速女。つーんと嫌な臭気が鼻腔を直接刺激する。それに、このままでは息ができない!しかも後から後から媚薬は注がれてくるのである。
首を激しく打ち振り死に物狂いで抵抗する。しかし口にねじ込まれた触手との間には寸分の隙間も生じない。暴れれば暴れるだけ酸素を消費し、息苦しさがつのってくる。
「ごぼごぼ、ぐふ、うううう!!」
なんとか飲むまいと頑張ってみても、このままでは呼吸ができないのだ。なんとか鼻で息をしようとすると、鼻に体液を吸い込んでしまう。
頭ががんがんしてくる。酸素を求めて体がぴくぴく痙攣し始める。
ううう...
頭は今まで以上に熱くなり、思考は停止してしまう。
ああ、息が...!!
遂にはその悪魔の液体を嚥下してしまう。一口、二口...いや、まだだ、きりがない!
ゴクゴクと喉をならして飲みこんでいく。確かに”速女”の言う通り、こんなものを飲んでしまえば自分の身体がどうなるか想像すらできない。いや、確実にわかっている事はある。今以上の地獄が待っているということだ。だが、それでも、それがわかっていながらでも飲むしかないではないか!吐き気がするようなおぞましい化け物の体液を、次から次へと飲みこんでいくしか...
それは、たちまち圧倒的な効果を発揮し始める。体の内と外から媚薬によって責め立てられる苦境。もう逃げ場は速女には残されてはいなかった。
恨めしげに、宙を見据える瞳。無情にも、その先に更なる責め具が映し出される。
男根にも似た巨大な触手。いや、それはまさにそのとおりの役目を果たすものなのだろう。
・・・さあ、いよいよ仕上げに入るわよ。この素晴らしい道具で、お前の陰が使い物にならなくなるまで突きまくってやるわ!媚薬に狂った体で果たしてどこまで耐えきれるかしら...ふふふ、あははははは!!!・・・
速女はその汚らわしい触手をいつまでも眺めているしかなかった。